呪術廻戦がとにかく面白いからみんな読んでみてくれ!
僕は生粋のジャンプっ子として育ってきて、今でもライフワークのように毎週の楽しみの一つとして触れさせてもらっているのだけど、最近とっても面白くて惚れたマンガがあるのでちょいと感想出力がてら紹介しておきたい。
それが新人漫画家 芥見下々による呪術廻戦というマンガである。
なんか「次にくるマンガ大賞2018」とやらでも1巻がやっと出たばっかで結構票が集まったぽいし布教始めるにはいいタイミングでしょう。
たらたら書いていたらかなり前口上が冗長化してしまったので目次をば。
どんなジャンル?
まあジャンル分けするならばダークファンタジーとか、いわゆる異能バトルものなんて云われるのかな。
このマンガの、漫画家の何が素晴らしいかというと、まずストーリーやドラマをしっかり描けること。それも濃密な。
ジャンプらしい勢いや熱量で読者をノせていくような近年のヒット作とは一線を画し、おおよそ少年マンガらしからぬ丁寧で緻密な構成と演出、場面場面を彩る印象的な強いセリフの数々で、
大人もすんなり楽しめる。というよりむしろこれ子供達に作者の表現意図がどれくらい伝わってんの? 楽しめてるのかな? ってこっちが不安になるような部分も多かったりするw
(ワールドトリガーが読めなくなってしまった今となっては僕のような趣向の大人のマンガ読みがジャンプを毎週読み続ける一番の理由になっているマンガかもしれない)
おかげさまで? このマンガがどういうマンガなのかをみんなが理解できたであろうエピソード「呪胎戴天」あたりからようやくアンケも急上昇。
そう。9話のこれがあったあたりね。
僕的には最初からキタコレ状態だったのだが、ちょっと特殊なわかりづらい設定での異能バトルものという事と(しかも全然細かい設定説明入らないw)粛々と淡々とストーリーが進んでいく地味さ加減により「このままひっそりと消えていってしまうのか……」と正直覚悟した頃もあった。
まあぶっちゃけ子供心をグッと掴めるような要素は贔屓目でもなかったしw
それがまあようやくこのエピソードをキッカケに世のマンガ読みさんたちがクオリティに気づいてくれたわけです。
実際このあたりから一気に某巨大ネット掲示板でもTwitterなどでも話題に出す人は増えた。
そして注目度が増した最高のタイミングでの五条先生のアレで「ああこりゃもう次期看板だわ~」くらいの増長を得るわけであるw
呪術廻戦とはこんなお話だよ。以下ウィキより
ストーリー
少年は戦う――正しい「死」を求めて。
両親の顔を知らず祖父に育てられた少年・虎杖悠仁。常人離れした身体能力を持つ彼に、育ての親でもある祖父は「オマエは強いから人を助けろ」と言い残して他界した。
祖父を亡くしたその晩、手続きのため病院にいた虎杖の前に、黒ずくめの少年・伏黒恵が現れる。彼は虎杖が以前拾った特級呪物「両面宿儺の指」を探していた。極めて危険なものである呪物を「人死にが出ないうちに渡せ」と虎杖に凄む伏黒。しかし一歩遅く、呪物は虎杖の元から心霊現象(オカルト)研究会(通称「オカ研」)の先輩の手に渡っており、「指」に辛うじて施されていた封印も剥がされてしまった。
封印を解かれた宿儺の指を取り込み、新たな力を得ようと学校に集まる呪い。虎杖は伏黒とともに呪いに取り込まれそうになっていた先輩を助けるが、新たに現れた呪いに不意を突かれたことで伏黒が負傷し、一同は窮地に陥る。「呪いは呪いでしか祓えない」という伏黒の言葉を聞いた虎杖は、状況を打開するために猛毒である宿儺の指を自ら呑み込んだ。本来なら口にした瞬間死亡してもおかしくない代物であったが、幸か不幸か虎杖は両面宿儺の「器」となる素質を持っていた。呪物を取り込んだことで呪術師の討伐対象となってしまった虎杖に、最強の呪術師にして呪術高専1年の担任・五条悟は二つの死に方を提示する。
呪術廻戦のWikipediaはなかなか熱い読者たちによって既に非常に充実していて、各キャラクターの大事な描写をしっかり捕捉できているので理解しやすくてオススメ
「人間」を描く物語
さて、なぜ今こんな紹介記事を残しておこうとしたかというと現在進行中のエピソード「幼魚と逆罰」が、まあそれはそれは素晴らしいから。
そして最新話を凄い引きで終えていて、次週かなりエグい状況へと進みそうでまた一層話題になりそうだったから、ここらでそろそろやっとこうかと思った次第。
そもそも最初から本当に一人一人の登場人物が繊細に丁寧に描かれているマンガで、それぞれがそれぞれの強い理念においてキャラ付けがなされていてとにかく「リアルな人間」として言動が地に足ついてしっかり生かされているという前提がこの作品にとってはとても大きい。
「呪い」や「呪力」「呪霊」という根幹設定自体、人間の(主に)負の感情から生じる概念として表現されているので、そういった意味でも「人間のドラマ」をこのレベルで構築できる作者のスキルがあって初めて成立するマンガであるからして、まあしかしよくこれをジャンプで当てられたなw ってなるよね。
おそらく本作の主人公である虎杖悠仁は
人間の内面的な部分をこねくり回すようなエピソードを主体に物語を進めていく事になるというのも考慮して、圧倒的なコミュ力と、シンプルで直情的な価値観と性格のザ少年マンガ的キャラクターとして設定された感あるし、中二や腐の方々を相当意識された形跡のある五条先生といい、細かいとこ含めいろんなところに狙いを察する成分が散らばってたりするのもオタク特有の無駄な深読みが捗って喜ばしい。
では、漫画の内容にも触れていこう。
すでにリリースされている単行本1巻では、まあ本当に大まかな世界観披露と共に呪いの王「両面宿儺」という強大な怪物を挟み込む形で、
この作品における最大のテーマである「呪い」に関して主要キャラクターの2人、虎杖と伏黒が抱えるそれぞれの「人間」や「命」に対する価値観を対比させるストーリー展開になっています。
が、
実は一番重要な8話、9話が収録されていないので恐らく単行本組にはまだまだ作品の、この2人(+人外1名)の魅力が伝わりきっていないと思われるのがもったいないところ。
(早く2巻読んでもらいたいし、なんなら地続きとなっている増刊での短期集中連載だった前作「呪術高専」も一緒に(乙骨はよ!)……と思っていたらどうやら3巻と呪術高専の単行本が同時発売らしく。それでも12月はまだ先だねぇ。一刻も早くこの作品の面白さにもっとたくさんの人が触れてほしい)
まだ呪術廻戦を読んでいない人たちへ。現在進行形エピソード「幼魚と逆罰」はこんな展開
では未だ呪術廻戦に触れていない人たちへ向けて「幼魚と逆罰」の振り返りを。
このシリーズは主人公虎杖悠仁含む4人の登場人物を主体に進められます。
主人公以外の3人は今シリーズ初出のキャラクター。
味方サイドの1級呪術師 七海 建人 よくできた大人。
呪術高専在学時に「呪術師はクソ」だと判断し一般企業に就職したものの、そこで「労働はクソ」であると実感、「同じクソならより適正のある方」を選び呪術界に戻ってきたというのが本人談。~ウィキより
僕くらいの世代にはひじょーに感情移入しやすい登場人物だw
そして彼を観測者としてこのエピソードを回しているのが敵側に立つ2人、最上級にあたる特級(であると思われる)呪霊 真人
ごく普通の高校生(だった) 吉野 順平
この2人が出会ったことで大きな事件が起こる。
吉野はこういう子だ。
学校でいじめを受けていて人間に対する価値観が揺らいでいる。ともすればもっと一気に負の方向へ歪んでいてもおかしくない状況であったと思うが、こうして「揺らいでいる」という状態で秤を維持できていた理由も後程判明する。
そして、彼は彼のことを嫌っていたいじめっ子3人組が真人によっておおよそ人間の仕業でない方法で殺害される場面を目撃した。
2人は魂と心の存在を主体にお互いの価値観を交わわせる。
「人間」そのものから生まれた呪いである真人の主義主張は、それはそれは吉野少年に刺さりまくるのね。
「言い訳をしないと生きていけないからね」と続くのだけど、真人の説法には説得力しかなくてほんと困る。
人の心を否定する。感情など単なる機械的な代謝にすぎない。
人間の呪いとして生まれた真人に真っすぐにこういう人間観を語らせていく。
吉野も、人間の醜悪さを知ったことで「無関心」こそ人の行きつくべき美徳だと言う。
個人的には、彼は彼なりに人の心を否定しようとしているものの、ここまでの言動からは未だ完全には否定しきれていない、捨てきれていない印象を受ける。
どちらかというといじめを受けるなどの経験から「諦め」に近い状態にあるのではなかろうか。
真人に接触し、ついていった理由が主に復讐心というところにも彼の秤がまだギリギリで落ち切っていないという感覚をえられる。
とはいえ、
真人「そんな君が復讐ね」
吉野「矛盾してるって言いたいんですか?」
からの
「無関心という理想に囚われてはいけないよ。生き様に一貫性なんか必要ない。俺は(吉野)順平の全てを肯定するよ」
なんてこられたらそら純粋な高校生はこんな顔にもなりますわ。
いうまでもなく「幼魚と逆罰」における幼魚とは吉野順平を指しているのだろうと考えた。
では逆罰は何にかかる言葉か?
さかばち【逆罰】とは。意味や解説、類語。理不尽なことを神仏に願って、かえって罰を受けること。また、その罰。
というわけで。うん、嫌な予感がプンプンしますねえ。
その後、吉野が力を得たのち別れた2人はそれぞれ主人公と七海に出会う。
そこでわかる事なのだけれど、幼魚とは真人の方にもかかっていたわけね。
呪術師として相対し、一戦交えた七海が得た真人のへ感想だ。
つまりやはり逆罰とは?……
そんな中、吉野の方は主人公虎杖と出会い、びっくりするほど意気投合。
真人に「心」の存在を否定され、「心」を打たれ、初対面の虎杖と「心」を通わせる。
その場に偶然吉野の母親が通りがかり、虎杖を自宅の食事に誘う。
必然的に、虎杖とも価値観を交わわせる吉野。
虎杖のシンプルで直情的な価値観、死生観もまた吉野に刺さりまくる。
特に「大切な人の価値までわからなくなるのが、俺は怖い」の部分
ここはズドンと突き刺さったはず。
それは紛れもなく、吉野が「心」の秤を保てていた唯一絶対の理由である母の存在と否応なくリンクされただろうから。
そして彼は答えを出す。
結局、母の存在が彼の秤をまた戻したわけだ。
さて吉野順平は今後どういった扱いになるのだろうか?
力は得てしまったわけで、主人公サイドでメインキャラクター入りでもするのかな?
なんて呑気に思っていたら
ん?
あああああああああああああああああああああああ
母ちゃん……
いったい、どうなってしまうのか~
捕捉情報。本作における重要キーワード「両面宿儺の指」「呪いと呪霊・呪術師」とは?
「両面宿儺の指」とはそのまま特級呪物である両面宿儺の指のこと。
呪物もそのまま呪いのこもった物のことで、呪霊と違って物体として現存しているとこういう扱いになる。普通の人間が接触するとヤバイことばっか起きてまじヤバイ。
特級とはランク付けにおける最上級の扱いで、とにかくヤバイ。
呪いの王こと両面宿儺さんの指なんてあまりにもヤバすぎるわけだが、今のところ本作における最高の便利アイテムと化している。
主人公虎杖は指を喰らって「何故か」適合。おかげで史上最悪の特級呪霊である両面宿儺さんが受肉してしまい虎杖の身体の中で同居しちゃってるし、
指を喰った呪霊が超絶パワーアップを果たしてまだまだぺーぺー学生身分な主人公チームを圧倒して盛り上げてしまったり、
今回も、どこからともなく出現した指1本のせいで吉野の母が……(いったいどこの誰がこんな非道を! いったい誰なんだ!)きっとこんな顔してる奴だな。
どうやら両面宿儺の指は全部で20本もあるらしく、敵味方いろんな勢力が確保、保持している分も結構あって、今後もあらゆる場面で便利に登場してくるものと思われる。指を喰らって回収していく事で虎杖の中の両面宿儺は力を取り戻していったりもする。
この呪術廻戦という作品で最も重要なのが「呪い」というワード。
まず解釈についてはそのままストレートに、でよいはず。
というか全ての解釈を内包していると言った方がよいか。
「のろい」も「まじない」もどちらの意味も含まれているし、
要するに、マイナスの意味合いが大きい「のろい」がこうで
呪い(呪霊)人間の身体から流れた負の感情が具現し意思をもった存在。呪術界では4級・3級・2級・1級・特級にクラス分けしているが、特級以上の階級は存在しないため、同じ特級同士であっても呪い同士には力に大きな差がある。また、地方と比較して都会の呪いは狡猾であり、場合によっては人質を取るなどの手段に出る場合がある。また、力の強弱に関わらず、呪力を伴わない攻撃はどれほど受けてもダメージを負わない。wikiより引用
プラスの意味合いの大きな「まじない」がこうである
呪術師(じゅじゅつし)呪いの力をもって呪いを祓う人間。その多くが呪術高専を拠点に活動しているが、中には呪詛師と呼ばれる悪徳呪術師もいる。呪霊と同じくこちらも4級から特級に分けられており、基本的に4級の呪霊には4級の呪術師が相対するよう任務が割り振られる。wikiより引用
と理解しておけば大丈夫かと思われる。
「呪い」に関しては単行本1巻から9話までの中での主要キャラ2人
虎杖と伏黒にかかる、それぞれの大事な人から言葉の呪いを受けた事によって生じた価値観のキャッチボールがまた良い味出してて儚くてたまらんのでそのうち記事にしときたい。
なお、「呪力」とは相手を呪う力そのもの。呪力が無い人間は呪いを祓うどころか見ること・触れることも出来ない。また、呪力の有無・術式の有無はほぼ生まれつきで、後天的な作用は殆どない。虎杖は呪物である宿儺の指を取り込むことで、例外的に呪力を手に入れた。wikiより引用
まだまだ各キャラクターたちの細やかなディテールやら、この作者の表現の、漫画の上手さやらアレもコレも書きなぐりたいことはこの序盤ですでにたくさんあるので
この呪術廻戦の魅力をひたすら語り倒す布教シリーズはまだまだ続けていくぜよ。